「洗濯機の『ドライコース』ってどんな場面で使うの?」
「洗浄力は他の洗濯コース違って『洗えていない感』が否めない」
洗濯機の機種によって「手洗いコース」とも呼ばれている「ドライコース」の洗浄力は、洗えているのか怪しいほどに静かで、実は「洗えていないので」と、疑いをかけられています。
しかし、それが「ドライコース」の特徴であり、実はその使い方は「間違っている」可能性があります。
そこで今回は、「ドライコース」の正しい使いどころ、「通常コースとの違い」について解説していきます。
【この記事を読んでわかること】
- 「ドライコース」という洗濯コースの特徴
- 「通常コース」「ドライクリーニング」との違い
- 「ドライコース」の使いどころ
- 「ドライコース」を使う上での注意点
「ドライコース」の使いどころが分かれば、今後どの場面で使用すればいいのかが分かったも同然! 洗濯の幅が今以上に広がりを見せます。
洗濯コースの1つ「ドライコース」とは
まずは「ドライコース」がどういう機能を持った洗濯コースであるかを解説していきます。
基本情報
洗濯コースの1つである「ドライコース」とは、通常洗濯コースでは洗えない「デリケートな衣類」を洗濯するときに使用する洗濯コースです。
「デリケートな衣類」とは、主に洗濯表示に「手洗いマーク」が付いている衣類を指します。例えば、セーターやスカートなど、通常コースのような「激しい洗濯」では、型崩れやほつれを起こしそうな衣類を対象としています。
通常コースとの違い
「ドライコース」と「通常コース」の大きな違いは、稼働時の洗濯機の動きが「激しい」か「緩やか」であるかにあります。
「通常コース」は、激しい水流と脱水をもって衣類を徹底的に洗濯していきます。モノによっては生地表面を傷つけるものとなり、消耗が激しいです。
対して、「ドライコース」の水流や脱水は非常に「緩やか」かつ「静か」で、衣類を傷つけない細心の注意を払って洗濯を行っています。
洗濯の様子は、洗濯機が「手洗いを行っている」といってもいいでしょう。
「ドライクリーニング」との違い
クリーニング店が行っている「ドライクリーニング」とは、「水を使わず衣類を洗濯」しています。
「水を使わないで衣類をきれいにすることはできるの?」
と思われる方が多いでしょう。
「ドライクリーニング」では、主に「石油溶剤」や「パークロロエチレン」といった「有機溶剤」を用いて行います。
この「有機溶剤」は油汚れを溶かす性質を持っているので、洗濯ができないコートやドレスなどに付いた汚れを落とすことができます。
ただし、水に溶ける汚れ落としは不得意としています。
【ドライコース/ドライクリーニングの違い】
- ドライコース:洗濯機が「手洗い」を行っている
- ドライクリーニング:水を使わず、「有機溶剤」を汚れに振りかけて浮かし落としている
「ドライコース」のメリット
まずは「ドライコース」を使用する上でのメリット・デメリットです。
クリーニングに出すよりも安価
原油の枯渇が進んでいる現在、原油価格の上昇に伴ってクリーニング利用料金もまた上昇しています。
そのような状況でも「手洗い推奨」の洗濯物を、定期的にクリーニングに出すのは家計的によろしくありません。
しかしドライコースを使用すれば、「手洗い推奨」の洗濯物を洗濯機が洗ってくれるので、クリーニングに出すよりも安価で済ませることが可能です。
洗濯機が「手洗い」してくれる
ボタンを1つ押すだけで、これまで洗濯おけに水を張って洗っていた手間を省くことができます。
「ドライコース」は機種によって、「手洗いコース」と明記されていることがあります。
手洗いできるものならば、このコースを利用して洗濯すれば、手洗いにかける時間を別のことに移すことができます。
水に溶ける汚れならお任せ
クリーニングが行っている「ドライクリーニング」は、油汚れを落とすのを得意としていますが、水に溶ける汚れを落とすのは不得意としています。
水に溶ける汚れを落とすためだけであれば、クリーニングに出すよりも「ドライコース」を利用するのがいいでしょう。
「ドライコース」のデメリット
ここからは「ドライコース」を使用する上でのデメリットです。
洗濯表示を見て洗えるかどうか判断する必要がある
「ドライコース」で洗濯できるか否かは、洗濯物によって異なります。
同じ「手洗い」をしたものでも、「ドライコース」を利用した洗濯ができない場合がありますので、衣類の「洗濯表示」を確認してから利用するようにしましょう。
洗える量に限りがある
「通常コース」とは異なり、「ドライコース」では一度に大量の洗濯物を洗うことができません。
機種に寄りますが、例えば、「通常コース」では10Kgまで洗える洗濯機でも、「ドライコース」では約1~2Kgまでしか洗えないなど、利用する上で洗濯物の量に制限が設けられています。
シミ汚れは事前に落としておく必要がある
「ドライコース」は、洗濯機が「手洗い」をしているかのように緩やかで静かに動いています。
それは、「衣類を傷つけない」ために行っているためです。
そのため、「洗浄力」は他のコースよりも劣り、場合によっては汚れを落としきれていないことがあります。
この事態を避けるために、前処理として「染み抜き」や「漬け置き」といったひと手間を踏む必要が出てきます。
脱水力が乏しく、乾かすための場所探しや乾くまでにかなりの時間を要する
洗浄力同様、「ドライコース」が行う脱水も「衣類を傷つけない」ことに配慮して短時間で済ませています。
よって、水気を十分に切っていないものが多く、取り出した際に水が滴る場合があります。
また、乾かすための場所選びや干し方ひとつで、衣類の状態が変わることがあります。
ドライコースの基本的使い方
ここからは「ドライコース」の基本的使い方をご紹介していきます。
「ドライコース」の使用ができる衣類
「ドライコース」を使用して洗濯ができる衣類は以下のものになります。
【生地の伸縮や傷みを避けたいもの】
「ドライコース」を使用することができる衣類は主に、セーターやカットソー、スカートなど、手洗いじゃないと型崩れや生地の伸縮などを引き起こしかねない「デリケートな衣類」の洗濯に適しています。
【刺繍やボタンなどの装飾品が多いもの】
次に刺繍やボタンなどの装飾品が付いている衣類の洗濯に適しています。
洗濯機の動きが、緩やかかつ静かな「ドライコース」では、装飾品を傷つけることなく、衣類の汚れだけを落としてくれるので最適です。
また洗浄中に装飾品の破損もありません。
使用可能な洗剤
「ドライコース」で使用できる洗剤は、「手洗い洗濯」をするときに使用した「オシャレ着用中性洗剤」または「ドライコース専用の洗剤」のいずれか使用しましょう。
洗浄力が乏しい「ドライコース」で、洗浄力が強い弱アルカリ性の洗剤を使用した方がいいという方もいますが、ドライコースで洗濯する衣類のほとんどが弱アルカリ性の洗浄力に耐えられない物なので避けるべきでしょう。
また仕上げに使用する「柔軟剤」は、ドライコースで使用できます。
「洗濯ネット」が必須
「ドライコース」で洗濯するもののほとんどが、型崩れや繊維が傷つきやすいものです。
これらを防ぐための「盾」として、洗濯ネットに入れてから洗濯するようにしましょう。
洗濯を終えたらすぐに干す
「ドライコース」が行う「脱水」は、「通常コース」が行う脱水とは異なり、十分に水気を切れていません。そのため、洗濯が完了したらすぐに乾かす必要があります。
干すときは型崩れ防止で必ず「シワ」を伸ばしてから、風通しのいい日陰で干しましょう。
また水が滴る場合は、洗濯物の下にバスタオルなど吸水性があるものを敷くといいでしょう。
「ドライコース」の使いどころはココ!

ここからは「ドライコース」の使いどころをご紹介していきます。
セーターやスカートなどの「デリケートな衣類」に使用する
「ドライコース」を使用するときは、基本「手洗い」で洗濯するデリケートな素材で仕立てられた衣類の洗濯を効率的に行いたいときに使用します。
主にセーターやニットなど、「型崩れ」や「シワが付きやすいもの」などの洗濯をするときに使うのがベストです。
型崩れ防止に努めたい衣類に使用
普段着や学校制服として挙げられるスカートの類やズボンなど、形を整えておく必要があるものの洗濯をするときにも「ドライコース」が使えます。
特に「スカートの折れ線」が崩れてしまえば、見栄えそのものが悪くなりかねません。
スカートに限らず「型崩れ」や「色落ち」を極力防ぎたいという時こそ、「ドライコース」で洗濯すべきといえます。
漬け置きした衣類に使用する
セーターやニットなど「デリケートな素材で仕立てられた衣類」に付いた汚れがひどい場合、一度「酸素系漂白剤」を溶かした洗濯液に漬け置きをして汚れを浮かせて手洗いをされる方が多いです。
漬け置き後に、「中性洗剤を用いて押し洗いをするのが手間だな」と感じた時は洗濯機の「ドライコース」を使用してみましょう。
手洗いする手間を省くことができるうえ、その時間を別のことに使えるだけの余裕が生まれます。
ドライコース使用上の注意
最後に「ドライコース」を使用していく上での注意点です。
浮きやすい素材の洗濯はしっかり沈ませる
「ドライコース」は、衣類を傷つけない優しい洗浄を心掛けて洗濯を行います。
対象とする洗濯物の素材によっては「水に浮きやすい」というものがあり、十分な洗濯が行われていないという結果を招く恐れがあります。
水に浮きそうな素材のものを「ドライコース」で洗濯する際は、手で洗濯物を沈めてから洗うといいです。
シミや汚れがあるものは一度「漬け置き」などの前処理が必須
「通常コース」と比べて、「ドライコース」の洗浄力は弱く、汚れの度合いによっては十分に落としきれていないということがあります。
シミや黒ずみなどの汚れを落とす際は、一度中性洗剤の原液を汚れに数滴垂らして汚れを浮かせるなどの下処理を行いましょう。
また中性洗剤の原液では心もとないという場合は、「酸素系漂白剤」を使用することでシミを落とすことができます。
水温は30℃以下であること
手洗いをするとき、最も汚れが落ちやすい水温は38℃~40℃前後のぬるま湯とされています。
しかし、セーターやニットなどの伸縮性に優れた繊維で仕立てられた衣類を、ぬるま湯に浸すと型崩れや繊維の収縮を招きます。
この事態を避けるためにも、セーターヤニットを含めた「デリケートな衣類」を洗濯するときは「30℃以下」の水で洗濯しましょう。
ドライコースは「漬け置き洗い」をしているものとして捉えること
「ドライコース」を選択した時の洗濯機の動きは、「緩やか」かつ「静か」に動いているので、「洗えていない」と疑いの目で見られがちですが、それは大きな間違いです。
「ドライコース」で使用する洗濯物の類は、繊維が傷つきやすい「デリケートなもの」ばかりです。「通常コース」のように激しい洗濯では、衣類そのものを傷つけてしまう恐れがあるのでこのような仕様となっています。
ゆえに、洗浄のやり方は「手洗い」に近い同時に、中性洗剤が溶けた洗濯液に「漬けて洗っている」ものとして捉えるのが妥当でしょう。
ドライコースはデリケートな衣類を洗うのに適した方法
以上が、洗濯コースの1つ「ドライコース」の正しい使いどころ、「通常コースとの違い」について解説でした。
今回の内容をまとめると、以下のようになります。
- 「ドライコース」は、洗濯機が行う「手洗い」であり、「漬け置き洗い」
- 「ドライクリーニング」は、有機溶剤を洗濯物に振りかけて行う洗濯方法
- 「ドライコース」は、セーターやニット、スカートなど、「型崩れ」や「色落ち」が心配される「デリケートな衣類」で使用する
- 洗濯前に一度、中性洗剤の原液を汚れに垂らして浮かせる「つまみ洗い」もしくは「酸素系漂白剤」に漬けて汚れを落とす「漬け置き洗い」などの下処理をしておくと汚れが落ちやすい
- 乾燥機は使用しない
- 「ドライコース」は、手洗いした衣類の「仕上げ洗い」としても使用できる
「ドライ」という単語を聞けば、水を使用しない、乾いたという考えがパッと思いつくでしょう。
しかし、「ドライコース」でいう「ドライ」とは、「衣類を傷つけない優しい洗濯方法」というニュアンスでコース名が付けられています。
機種によっては「手洗いコース」や「オシャレ着コース」とも呼ばれています。
「ドライコース」を使用することで、これまでセーターやニットなど「デリケートな衣類」の手洗いともおさらばです。
これからは、洗濯機があなたの代わりにこれら衣類の洗濯を行ってくれます。