マウンテンパーカーは、登山やハイキング、キャンプなどのアウトドアを趣味として楽しむ方にとって、大切なアイテムです。
マウンテンパーカーは、アウトドアを楽しむ方向けに仕立てられたアウターゆえ、雨風を凌げるよう撥水加工・防水加工が施されています。
一度野外イベントで着て行けば汚れるのは必然。
そして着用後は洗濯をするわけですが、下手に洗濯をしてしまえば、購入時に施されていた撥水加工・防水加工の効果を低下させてしまう恐れがあると思われる方も少なくありません。
しかし、撥水加工や防水加工は定期的なお手入れを行えば、洗濯頻度を軽減してくれます。
洗濯頻度が減れば、洗濯による加工効果の大幅低下を防ぐことも可能です。
そこで今回は、自宅で簡単にできるマウンテンパーカーのお手入れ方法と正しい洗濯方法・干し方、汚れからマウンテンパーカーを守るコツをご紹介します。
- マウンテンパーカーに見られる汚れ
- 汚れを放置し続けるとどうなるのか?
- 洗濯方法・干し方
- 汚れから守る方法5選
- 撥水効果がなくなってきたら行うこと
マウンテンパーカーに見られる汚れ
登山やハイキング、キャンプなどのアウトドアを楽しむときに着るマウンテンパーカーでは、以下の汚れが見られます。
【見られる汚れ】
- 空気中のホコリ
- 泥や砂埃
- 汗・皮脂汚れ(裏地)
流通しているマウンテンパーカーのほとんどに撥水加工、防水加工の水気や汚れを受け付けない加工がされていますが、使用し続ければ、生地表面には汚れが付着していきます。
特に、登山やハイキングなど天候が変わりやすい山へ赴くとなれば、霜やぬかるみではねた泥がパーカーに付着します。
購入したてから1~2カ月は十分な機能を発揮します。しかし、それ以降使用し続ければ、生地表面に目に見えない小さな汚れが蓄積して加工そのものを低下させます。
さらに内側では、着用者の汗や皮脂汚れが襟元や袖に付着しています。そこを温床に雑菌やカビが繁殖しています。
水気や汚れを弾く撥水加工が施されていても、これだけの汚れがマウンテンパーカーには見られます。
汚れを取り除かないとどうなるのか?
マウンテンパーカーを購入して数カ月間使用し続ければ、パーカーに施されている撥水加工そのものが低下していきます。
機能低下の原因は、前節でご紹介した「汚れ」にあります。
マウンテンパーカーの外側の生地表面には、撥水加工が標準加工されています。
この加工はただ水気を弾くだけじゃなく、泥や砂埃などの汚れも弾く機能性を持っています。
一見すれば、汚れていない物と思いますが、撥水加工を成している「撥水基」が寝込んでしまって汚れを生地繊維の奥へと入れてしまいます。
加えて、撥水加工は日を追うごとに加工機能そのものが低下していきますので、定期的に撥水加工を施してあげる必要があります。
つまり、使用毎に汚れを取り除いてあげないと「撥水基」が寝込んで撥水加工が損なわれてしまいます。
マウンテンパーカーを選択する前に洗濯表示を確認
マウンテンパーカーを洗濯するときは、必ず「洗濯表示」の確認をしてから洗濯しましょう。
マウンテンパーカーの多くはナイロンやポリエステルなどの化学繊維手で仕立てられているものが多いので「洗濯機可」または「手洗い洗濯可」のものが多いです。
基本的に「洗濯可」を指示する表示があれば、自宅で洗濯できます。
マウンテンパーカーの洗濯で使用するアイテム
マウンテンパーカーを洗濯するときは、以下のアイテムを使用して洗濯します。
【使用するアイテム】
- 洗濯桶or洗濯ボウル(なければ洗面台)
- 専用洗剤orオシャレ着用中性洗剤(漂白成分なしのもの)
- ブラシ
- 洗濯ネット
- バスタオル
この5つのアイテムを使用して、洗濯していきます。
マウンテンパーカーを洗濯するときは、それ専用の洗剤を使用して洗濯するのが望ましいです。もし、自宅にない場合は、漂白成分が配合されていないオシャレ着用中性洗剤を使用しましょう。
漂白成分が配合されているものを使用すると、生地表面に施された撥水加工が機能しなくなります。
マウンテンパーカーの洗濯方法・干し方
ここでは、マウンテンパーカーの洗濯方法・干し方をご紹介します。
前処理:ブラッシング
マウンテンパーカーを洗濯する前に、ブラシもしくは乾いたタオルで全身をくまなく拭きあげます。
これをしてあげることで、生地表面に付いた汚れをその場で落として以降の洗濯を多少楽にしてくれます。
またシミ汚れがある場合は、水で湿らせたタオルに洗剤を付けて洗う「部分洗い」をしてあげましょう。
洗濯方法①手洗い
ここでは、ブラッシングを終えたマウンテンパーカーを、手洗いで綺麗にしていく手順をご紹介します。
【洗濯の手順】
- 洗濯桶に40度前後の温水を張る。
- 温水に専用洗剤もしくはオシャレ着用中性洗剤を適量入れてよくかき混ぜる。
- マウンテンパーカーのファスナー・ボタンをすべて閉じて畳み、温水に浸す。
- 畳んだときにできる隙間に手を入れ、中まで温水を行き渡らせる。
- 桶底に当てるように2~30回押し洗いしてあげる。
- 洗濯液を捨て、綺麗な温水を注いで泡が出なくなるまで何度もすすぐ。
- すすぎ終えたらバスタオルに包んで脱水する。
- 脱水を終えたらドライヤーまたは乾燥機に入れて乾かす。
これでマウンテンパーカーの手洗い洗濯は完了です。
- 洗濯前に一度ブラッシングしておくと少し楽。
- 使用する水はなるべく40℃前後の温水が望ましい。
- 洗濯するときは必ずファスナー・ポケットのボタンは締めておく。
- 水気を切るときは、洗濯機の脱水機能ではなく、タオルに包んで水気を切ること。
- 脱水後はドライヤーまたは乾燥機に入れて熱を加えると撥水加工が回復する。
洗濯方法②洗濯機
ここでは、マウンテンパーカーを洗濯機で綺麗にする場合の手順をご紹介します。
【洗濯の手順】
- マウンテンパーカーのファスナー・ポケットのボタンをすべて締める。
- 畳んで洗濯ネットに入れる。
- 洗濯機に他の衣類がないことを確認してから、洗濯槽にセットする。
- 専用洗剤またはオシャレ着用中性洗剤を適量入れて蓋をする。
- 弱水流の「手洗い・ドライコース」に設定してスタートを押す。
- 洗濯後は、タオルで水気を切る。
- ドライヤーまたは乾燥機に入れて熱を加えて乾かします。
これで洗濯機によるマウンテンパーカーの洗濯は完了です。
- パーカーを畳むときは、汚れがひどい面を表面にすること。
- 洗濯機の脱水は生地に多大なる負荷を与えるので、洗濯コースから外してタオルで水気を切ること。
- 洗剤はなるべく少なめに入れる。
- 洗濯コースは弱水流の手洗い・ドライコースを選び、すすぎ2回設定で可動作させること。
- 脱水を終えたらドライヤーまたは乾燥機に入れて熱を加えることで撥水加工が回復する。
乾燥機にマウンテンパーカーを入れるときも、洗濯表示の確認をしてから入れること。
もし乾燥機NGの場合は、ドライヤーで熱を加えるだけでも、撥水加工は回復します。
マウンテンパーカーの干し方
洗濯を済ませたマウンテンパーカーは、風通しのいい日陰で半日間干して乾かします。
ドライヤーや乾燥機によって乾かしているからいいと思われますが、この工程は寝込んでしまった撥水基を起こすために行っています。
陰干しすることで、裏地生地が乾くほか、消臭もされます。
- ハンガーに吊るす際は、一度全体をたたいてシワを伸ばすこと。
- 乾かすときは必ず風通しのいい日陰。
- 日向で干すと変色・色あせの原因に繋がる。
マウンテンパーカーを汚れから守る方法
ここでは、汚れからマウンテンパーカーを守るコツを4つご紹介します。
汚れたらすぐに拭き取る
マウンテンパーカーを登山やハイキングなどのアウトドアで着た後は、目には見えない汚れが至る所に付着しています。
パーカーを脱いだら、ブラッシング、軽く水気を切ったタオルで表面を拭いて最後に乾拭きをしてあげましょう。
この3工程をしてあげるだけで、撥水加工を成している撥水基が立ち上がって撥水効果を再度発揮します。
加えて、洗濯頻度も減らせて一石二鳥です。
こまめなお手入れが撥水加工の寿命を延ばす
マウンテンパーカーに施されている撥水加工は、時間を経るごとに効果が低下していきます。
少しでも撥水効果を延命させるためにも、使用前に撥水スプレーを施したり、使用後は汚れを落とすなどのこまめなお手入れを行うことで効果そのものを長くできます。
漂白剤の使用は控える
マウンテンパーカーを洗濯するときは、漂白剤の使用は控えましょう。
マウンテンパーカーにも、一般衣類と同じようにシミ汚れができます。
シミ汚れに対して一番効果を発するのが酸素系漂白剤ですが、これを使用すると生地表面に施された撥水加工を薄めてしまう恐れがありますので、使用しないことをおすすめします。
もし、パーカーにシミ汚れが見られたなら、中性洗剤を溶かした洗濯液にタオルを浸して部分洗いするのがおすすめです。
洗濯は1シーズンに1度・年4回がベスト
マウンテンパーカーの大篝な洗濯は1シーズンに1度、年に数回行う程度で問題ありません。
理由は、洗濯すれば生地表面に施された撥水加工を薄めてしまうからです。
洗濯後には、ドライヤーなどで熱を加えて回復させていますが、これはあくまで一時的な処置にすぎません
着用後はブラッシング、水拭き・乾拭きのお手入れをしてあげるだけでも十分に清潔感を保てます。
撥水加工効果がなくなってきたら行うこと
ここでは、マウンテンパーカーの撥水加工が低下してきたとき、加工そのものがなくなってきたときに行うことです。
熱を加えて撥水加工を回復させる
まずは熱を加える方法です。
撥水加工を成しているのは、生地表面に付着している撥水基が立の状態でいることで汚れや水気を弾いています。
もしこれが寝込んでしまえば、撥水効果は発揮されません。
しかし、寝込んでしまった撥水基は熱を加えてあげることで起き上がります。
熱を加える方法は3つあります。
【熱を加える方法】
- ドライヤー
- アイロン
- 乾燥機
ドライヤーを用いた方法
この方法は洗濯表示の指示に関係なく行えますので、心配や不安に思う必要がありません。
アイロンを用いて熱を加える方法
アイロンを用いる洗濯表示にアイロンのマークがあることを確認してから行いましよう。
アイロンがけをマウンテンパーカーに施す際は、低温・スチーム設定で間に当て布を敷いてからかけましょう。
あくまで「シワ伸ばし」の為にしていることじゃないので、短時間でかけ終わりましょう。
乾燥機による方法
他の方法よりもてかるに行うる方法補ですが、使用前には必ず洗濯表示の確認をしてから行いましょう。
もし乾燥機を使用する場合は、温度を「標準」に設定して20分ほど動かしてあげましょう。
市販の撥水スプレーを用いる
撥水加工がなくなってきたなと感じたら、市販の撥水スプレーを使用していきます。
撥水スプレーを吹きかけるときは、パーカーを一度ブラッシングしてから全体に薄く均一に吹きかけてあげましょう。
大量に吹きかけると、液ダレを起こして最悪シミを作る恐れがあります。
一度塗布したら乾くまで待ってから、再度吹きかけます。
これを3~4回繰り返してあげると、撥水加工が施されます。
マウンテンパーカー専門のクリーニングに依頼した際の料金の相場
撥水加工はクリーニング店でも承っています。
中綿がない薄手のパーカーに撥水加工を施してもらう場合の料金は、1着当たり700円~1,500円前後の料金がかかります。
中綿が入っている厚手のパーカーのものとなれば、1着当たり1,000円~2000円前後で承っており、ハイブランドのパーカーともなれば、1着当たり4,000円からの承りになります。
また商品名も「マウンテンパーカー」という品目ではなく、「ジャンパー」という品目に部類して取り扱っているクリーニング店が多いです。
料金は店舗によって異なりますが、自宅で施すよりも丁寧に仕上げてくれますのでおすすめです。
まとめ~定期的なお手入れでマウンテンパーカーを汚れから守ろう~
以上が、自宅で簡単にできるマウンテンパーカーのお手入れ方法と正しい洗濯方法・干し方、汚れからマウンテンパーカーを守るコツをご紹介でした。
今回の内容をまとめると以下の通りになります。
- 撥水加工が施されていても、マウンテンパーカーは汚れている。
- 汚れを放置すると、撥水加工が低下して生地の劣化が進む。
- 洗濯する前にブラッシングや部分洗いをしてあげるといい。
- 汚れがひどい場合、丁寧に洗いたい場合は手洗い洗濯。
- 手間をかけず洗いたい場合は洗濯機を使用する。
- 洗濯機の脱水機能は使用しない。
- 脱水はバスタオルに包んで行うこと。
- 撥水機能が低下したら、熱を加えて回復させる。
- 定期的なお手入れで洗濯頻度は減らせるうえ、清潔感を保てる。
登山やハイキングなどのアウトドアから、普段使いまで幅広い用途で使用できるマウンテンパーカーには、水気や汚れを弾く撥水加工が施されているおかげで、あまり汚れていないように見えますが、使用毎に汚れが付着しています。
この汚れを放っておくと、撥水加工そのものを低下させるほか、生地の劣化を招いてしまいます。
このように事態にならないためにも、使用毎にお手入れを行ってあげましょう。
この手間を取るか取らないかだけで、撥水加工の寿命の長さが決まります。
これからも長く愛着を持って着ていたいものであれば、手間を惜しまずお手入れをしてあげましょう。