登校や出勤、買い物バッグなど、あらゆる用途・場面で使用される機会が多いトートバッグは、使用回数が多ければ多いほど目に見えない汚れが蓄積しています。
オシャレで使い勝手がいいことから、トートバッグを愛用されている方が多いです。
しかし、トートバッグはシンプルなデザインゆえ、蓄積した汚れが浮き彫りとなって、デザインよりも目立ってしまいます。
一度洗濯すれば、生地が分厚いためシワになりやすく、最悪型崩れや色あせなどを起こしてしまうことを懸念して、手放してしまう方もいます。
しかし、正しい洗濯手順を踏んであげれば、自宅で綺麗に仕上げられます。
そこで今回は、トートバッグの正しい洗濯方法・干し方、汚れからバッグを守る対策をご紹介します。
- トートバッグに見られる汚れ・劣化の原因
- 洗濯方法・干し方
- 汚れからバッグを守る対策
- クリーニング店にお願いする場合の料金相場
トートバッグに見られる汚れ
あらゆる用途・場面で使用できるトートバッグでは、以下の汚れが見られます。
【トートバッグに見られる汚れ】
- 汗・皮脂、ホコリによる黄ばみ
- 黒ずみ
汚れ①汗・皮脂、ホコリによる黄ばみ
まずは、黄ばみ汚れです。
この汚れは主に、トートバッグの持ち手部分やバッグの底で見られます。
この汚れを作っているものは手から出る汗や皮脂汚れ、床に置いたときに付着したホコリを餌として増殖した雑菌が原因で、黄ばみ汚れが広がっていきます。
また、天日干しをすることでも黄ばみ汚れは発生します。
汚れ②黒ずみ
次に黒ずみです。
この汚れの正体は、「黒カビ」です。
黒カビは使用者の汗や皮脂汚れ、雨で濡れた状態のまま放置しておくと発生します。
黒カビは、黄ばみの原因でもある雑菌同様、生地表面に付いたホコリや皮脂汚れを餌に繁殖していきます。さらに、湿度が高ければ高いほど増殖スピードは早いです。
トートバッグの劣化は「汚れ」だけじゃない
トートバッグも「物」である以上、長年使用していれば汚れが蓄積して劣化します。
その劣化の原因は蓄積した「汚れ」だけではありません。
以下は、トートバックが劣化する原因です。
【トートバッグが劣化する原因】
- 摩擦
- 日焼けによる色落ち・色あせ
- 破れ・ほつれ
劣化①摩擦
トートバッグを肩にかければ、側生地部分が洋服の生地と擦れてしまいます。
最初期は気にならない程度ですが、時間が経てば経つほど、側生地部分が毛羽立ったりツルツルにはげたりします。
また肩にかける手持ち部分もバッグの揺れに応じて裏地が擦れ、側生地同様の状態になります。
劣化②日焼けによる色落ち・色あせ
トートバッグの殺菌・消臭を兼ねた天日干しを長時間行えば、日差しに含まれる紫外線の影響を受けて生地表面が変色したり、色落ちや色あせなどを引き起こします。
日焼けした部分は、洗濯しても元には戻りません。
もし天日干しを行うのであれば、10時から13時までの3時間だけ行うようにしましょう。
劣化③破れ・ほつれ
最後は「破れ・ほつれ」です。
破れは主に側生地の擦れ具合で起こり、ほつれはバッグに詰め込んだ荷物量の重さによって裁縫部分に負荷が集中したせいで起こり得ます。
トートバッグを長く使用していくためにも、詰め込む荷物量は必要最低限のものに絞っておくのがいいでしょう。
トートバッグを洗濯する前に洗濯表示を確認しよう
トートバッグを洗濯する際は、バッグの内側側面にある「洗濯表示」を確認してから洗いましょう。
基本的に「桶マーク」にバツ印が付いていない限り、自宅で洗濯可能です。
トートバッグの「洗濯可」を表す洗濯表示の多くは、「桶マーク+手マーク」の手洗い可能を指示する表示が多いです。
トートバッグを洗濯するときに使用するアイテム
トートバッグを洗濯するとき、以下のアイテムを使用して洗います。
【使用するアイテム】
- 洗濯桶or洗濯ボウル(なければ洗面台)
- オシャレ着用中性洗剤
- 使用済み歯ブラシ
- バスタオル
- 毛ブラシ
上記5つのアイテムを使用して、黄ばみ汚れや汗シミ、黒ずみを落としていきます。
あまりにも汚れがひどい場合は、酸素系漂白剤を漬け置きしてから洗濯しましょう。
トートバッグの洗濯方法・干し方
ここからはトートバッグの洗濯方法をご紹介します。
基本的にトートバッグを洗濯するときは「手洗い」で綺麗にしていきます。
理由は、型崩れシワ付けなどの防止に努めるためです。
またトートバッグの中にはワンポイントとしてプリントが施されているものもあります。そのプリントを損なわないためにも、丁寧な洗い方ができる手洗いがおすすめです。
ここでは、トートバッグの洗濯方法・干し方についてご紹介します。
洗濯方法①部分洗い
まだ汚れがひどくない場合は、全体を洗わず汚れだけを浮かせて落とす部分洗いがおすすめです。
【部分洗いの手順】
- 汚れ部分に少量の中性洗剤を染み込ませる。
- 使用済み歯ブラシで汚れ部分を優しく擦っていく。
- 汚れが落ちたら、水を染み込ませたタオルで洗剤をすすぐ。
- すすぎ終えたら、乾いたタオルで濡れた部分を拭き取る。
これで部分洗いは完了です。
- 歯ブラシで汚れを擦り落としていく際は、力を込めて洗わないこと。
- すすぐときは、洗剤が残らないようしっかりすすぎ落とす。洗剤が残れば黄ばみの原因になる。
洗濯方法②手洗い
次は、トートバッグ全体を手洗いで綺麗にしていきます。
全体を洗う場合は、全体的に汚れがひどい場合や部分洗いだけでは手に負えない状態の時にやるのがおすすめです。
また少しでも汚れを落ちやすくするため、前処理として酸素系漂白剤を用いた漬け置きをしておくと手洗い洗濯をした時、汚れが落ちやすいです。
【手洗いの手順】
- 洗濯桶に40℃前後のぬるま湯を張る。
- ぬるま湯にオシャレ着用中性洗剤を適量注いで、よくかき混ぜる。
- ぬるま湯に浸す前に、1度トートバッグをブラッシングしてホコリを払う。
- 洗濯液にトートバッグを浸して、30分ほど漬け置きする。
- 漬け置きしたら、2~30回ほど押し洗いして汚れ部分を歯ブラシで擦る。
- 洗濯液を捨て、綺麗な水を注いで泡が出なくなるまですすいでいく。
- すすぎ終えたら、バスタオルに包んで水気を切る。
これで手洗いによる洗濯は完了です。
- 汚れ部分を擦り落としていく際は力を込めすぎないこと。
- 脱水するときは、雑巾のように絞らないこと。シワや型崩れの原因に繋がります。
- 前処理で漬け置きするときは、酸素系漂白剤に重曹を1:1の割合で配合すると消臭もできる。
- バッグを洗濯液に浸したら、バッグの口を開けて中までしっかり洗濯液に浸すこと。
- すすぎの時は、洗剤を残さないこと。乾かすとき、変色や黄ばみを作る原因になる。
- 固形石鹸をあらかじめ塗布しておく方法もある。
干し方
洗濯し終えたトートバッグは、風通しのいい日陰で乾かしていきます。
- 乾かす前に、一度たたいてシワを伸ばす。
- バッグの持ち手をハンガーにひっかけて口を広げることで早く乾く。
- 持ち手部分がねじれないよう気を付けること。
- プリントがあるものは、生地を裏返しにしてから乾かすこと。
上記3つのポイントを押さえて、トートバッグを乾かしましょう。
また日向で乾かした場合、速乾性はありますが、洗剤の残りがあった場合、黄ばみや生地の変色、色あせを起こす可能性がありますので、必ず日陰で乾かしましょう。
トートバッグを汚れから守るコツ
ここでは、前節でご紹介した汚れからトートバッグを守るコツです。
ブラッシング
まずはブラッシングです。
トートバッグを使用すれば、空気中を待っているホコリや床に溜まっているホコリなどが付着します。
トートバッグを使用したその日のうちにブラッシングをしてあげることで、付着したホコリを落としてあげることで雑菌の増殖、黄ばみ汚れの発生を防げます。
特に側生地やバックの底は念入りにブラッシングしてあげましょう。
またバッグに詰め込む荷物に、ホコリが付いていることがあります。
バッグを裏返せるものであれば、一度手荷物を外へ出してからバッグを裏返しにして内側もブラッシングしてあげましょう。
防水スプレー
次は防水スプレーを塗布する方法です。
防水スプレーといえば、革靴などの製品に吹きかけるイメージが強いでしょう。
しかし、防水スプレーの使用可能範囲内であればトートバッグにも使用できます。
防水スプレーを塗布すれば、雨風からバッグを守ってくれるほか、空気中のホコリや汚れすら受け付けません。
ただし、防水効果は一時的なものなので、半月に1度は防水スプレーを塗布してあげましょう。
【防水スプレーを塗布するときのポイント】
- 全体的に薄く均一に吹きかけること。
- 1度全体的に吹きかけたら、乾くまでしばらく待機。
- 乾いていない状態で塗布した場合、シミができるので要注意。
- これを2~3回繰り返すのがおすすめ。
アイロンがけ(プリント付きのものはNG)
トートバッグを洗濯して乾いた後、もしバッグにシワができていたら、アイロンがけをしてあげましょう。
ただしアイロンがけを行う場合は、1度洗濯表示を確認してからにしましょう。
プリントがあるものは、アイロンの熱でプリントが溶けてしまうので基本NGです。
シワを作らずに済む方法は、洗濯後シワを伸ばしてから乾かすとシワができません。
消しゴムかけ(軽い汚れに有効)
トートバッグの持ち手や底が少し黒ずんできた場合、消しゴムかけで汚れを落とせます。
この方法は、黒ずみがまだ軽度のものであれば、手軽に行える方法です。
ただし、消しゴムかけをしても完全に落としきれるわけじゃないのでご注意ください。
あくまで応急処置程度のものと思っておくのが妥当です。
濡れたら中身を取り出して乾かすこと
トートバッグが雨などで濡れてしまった時は、すぐに中身を取り出して風通しのいい場所や浴室乾燥機の冷風、サーキュレーター、扇風機などを用いて乾かしましょう。
濡れた状態が続けば、水シミや黒カビなどを生む原因に繋がります。
洗濯機でトートバッグは洗える?
ここでは、トートバックを洗濯機で洗う場合の手順と注意事項をご紹介します。
型崩れの原因になるのでおすすめしない
トートバックの洗濯表示の中には、洗濯機で洗えることを可とするものもあります。
しかし、基本的にトートバックの洗濯を洗濯機に任せるのはおすすめしません。
理由は、型崩れを起こすからです。
洗濯機を用いれば、手洗いするよりも効率的に洗濯ができると思われますが、洗濯機で洗った場合、トートバックの繊維にかかる負荷は大きく、すすぎ・脱水の工程でシワを作ってしまったり、デザインそのものを損なう恐れがあります。
またトートバッグの持ち味である「バリッとした仕上がり」をなくしてしまう可能性があります。
新品のものほど、洗濯機による洗濯はおすすめしません。
しかし、長年使ってきたものであれば大丈夫でしょう。
洗濯機でトートバッグを洗う場合
以下、洗濯機でトートバックを綺麗するときの手順です。
【洗濯機の手順】
- トートバックを軽くブラッシングする。
- バッグを洗濯ネットに入れる。
- 洗濯槽に他の衣類が入っていないことを、確認してから入れる。
- オシャレ着用中性洗剤を適量入れて蓋をする。
- 弱水流の手洗い・ドライコースを洗濯して、脱水工程を洗濯コースから外す。
- すすぎを終えたバッグを洗濯機から出して、タオルに包んで脱水する。
- 形を整えてから、風通しのいい日陰で乾かす。
これで、洗濯機によるトートバックの洗濯は完了です。
- 汚れがひどい場合は、洗濯機で漬け置きしてから洗濯すると汚れが落ちやすい。
- 脱水は必ずバスタオルに包んでから行うこと。
- プリントがあるものを洗濯機で洗う場合は、生地を裏返しにして洗うこと。
クリーニングの料金相場
バッグのクリーニング料金は、仕立てるときに使用されている素材の種類や汚れの程度、大きさによって価格が変動します。
たとえば、革やエナメル、スエードなど、自宅ではまず手に負えない物はクリーニング料金が高く、キャンパス地など自宅でも洗濯できる物は比較的安価で受け付けています。
またサイズも重要です。
バッグのサイズが35cm以下ならSサイズ、60cmまでならMサイズ、それ以上となればLサイズ扱いになり、料金も徐々に上がっていきます。
バッグのクリーニングのみであれば、7,500~15,000円が相場です。
そこに撥水加工や補修、防水加工などの有料オプションを付けた場合は2万近くの取引価格になります。
キャンパス地のトートバッグの場合は、オプション込みで6,000~10,000円前後で承っています。
まとめ~定期的なお手入れと手洗い洗濯で汚れから守ろう~
以上が、トートバッグの正しい洗濯方法・干し方、汚れからバッグを守る対策をご紹介でした。
今回の内容をまとめると以下の通りになります。
- 汚れの原因は、汗や皮脂汚れ、ホコリからなる黄ばみや黒ずみ。
- 劣化の原因は、汚れに加えて側生地の擦れや荷物の重量によるものが主。
- 洗濯は基本的に部分洗いか手洗いがおすすめ。
- 洗濯後は風通しのいい日陰で干す。
- 乾かす前に、一度たたいてシワを伸ばすこと。
- アイロンがけは洗濯表示に従うこと。
- 定期的なお手入れで汚れから守れる。
- 洗濯機の使用はおすすめしない。
- クリーニングに出したときの相場は、6,000円~。
あらゆる用途・場面で活躍するトートバッグは、使用する度に見に見えない汚れが蓄積しています。
最初のうちは気にならなくても、時間が経てば経つほど汚れが表立ってバッグのデザインよりも目立つ恐れがあります。
大切なバッグをずっと愛用していくためにも、定期的なお手入れや部分洗い、手洗い洗濯をして清潔に保ちましょう。
大掛かりな洗濯が手間だと感じる方は、お手入れを欠かさず行うことでも十分綺麗な状態をキープできます。