本当にとれない? クリーニング屋がシミ抜きを断る理由


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皆様のなかで、お気に入りの服についたシミを抜いてもらおうとクリーニング店に服を持っていったのに、「変色しているので、落ちません」「これ以上は生地を傷めますので」と断られた方はいませんか?。クリーニング屋でも無理ならもう諦めるしかない。そうお考えの皆様、ちょっと待ってください。じつはクリーニング屋が上のように言うのには理由があるんです。

今回はクリーニング屋が無理と言うシミの正体と、なぜクリーニング屋が無理と言うかについて説明します。

▪️クリーニング屋で行われるドライクリーニングの正体

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皆さんがクリーニング屋に出す服といえば、「スーツ」「コート」「ニット」などがあると思います。これらは水洗いすると型崩れや色落ちなどを起こす服で、それを防ぐ洗い方がドライクリーニングです。ドライクリーニングは有機溶剤を使う洗浄方法で、体から出る脂、空気中の排気ガス、油性物質などの水に溶けない(または溶けにくい)性質の汚れを溶かして取り去ることができます。また、水を使わないためデリケートな素材の衣類に適しているという特徴があります。しかし、ドライクリーニングでは汗・お酒やジュース・食べこぼし・血液といった「水を使用しないと落ちないもの」を落とすことができないのです。

▪️クリーニング屋が断る変色したシミの正体

白いシャツが黄ばんでしまった。食べ物のソースがスーツの袖についてしまった。これらのシミや汚れは時間が経てば経つほど取れにくくなります。というのも、汗にしろ食べこぼし飲みこぼしにしろ、それら時間とともに変色したシミは、空気と触れて酸化してしまっているのです。汗などの酸化によってできる変色シミは「黄ばみ→変色→脱色→脆化(ぜいか)」と4段階に分かれて悪化していきます。脆化すると衣類の素材が壊れてしまっているのでまず元通りになりません。

▪️クリーニング屋がシミ抜きを断る理由

洗濯のプロのはずのクリーニング屋がシミ抜きを断るのはいかがなものかと思う方もいることでしょう。しかし彼らがシミ抜きを断るのにはいくつか理由があるのです。

1.技術が足りていない
ひとえにシミと言っても千差万別です。家でも簡単にできるものから、高度な技術をようするものまであります。繊維の種類や特性、衣類の着用状態、染色状態、シミの種類やシミの状態など多くの情報をヒントに、その衣類に最適な処理方法を選択しなければなりません。そのため、基本的には数多くの知識や経験が必要になるのです。

2.手間と時間がかかる
上で紹介したように、シミ抜きには高度な技術を必要とする場合があります。さらにはシミを抜くという工程を挟む分、時間もかかってしまいます。一着の服を仕上げるのにかかる時間を省けば省くほど、コストを抑えて低価格でサービスを提供できるため、クリーニング店の中にはシミ抜きを取り扱っていない店もあるのです。

3.失敗のリスクを背負いたくない
シミ抜きには高度な技術を必要とする場合があり、そのようなシミの処理は素人にはまずできません。お客様の大事な預かり物にもしものことがあったら大問題です。そのため、特に多くのアルバイトやパートを抱える大型チェーンでは、お客様の預かり物に「もしも」がおこらないようシミ抜きを行っていない店もあります。

以上のような理由から、クリーニング屋の中にはシミ抜きを断る店があるのです。

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